【メンヘラ エッセー】優しい元カレは、ただの亡霊だった件

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付き合っているときも
別れてからも
一度も彼に
使わせなかった言葉がある。
「バイバイ」。

男女の間で使うと
縁が切れてしまいそうで、怖くて、
別れるときには決まって
「またね」と言わせていた。

そのせいもあってか
独り身になっても
ずるずると
彼の影を追い続け、

自分から振ったくせに、
また付き合うことは
とても想像できないくせに、

それでも彼の
薄っぺらい
社交辞令の優しさにすがり続けていた。
26歳の冬。
つまり、つい、昨日まで。

嫌われることで確かめる、私を

心が弱ると、
彼の夢を見る。
すでに相手がいる場合もあるし、
これでもかと愛してくれることもある。

付き合った期間 約3年。
別れてからの期間 約2年。

彼と別れてから
ほかのひとともお付き合いしたけど
結局 この生活に戻ってきた。

病的なメンヘラ女。
しかもアラサーだなんて痛さの極み。
そんなことはわかっているのに
つらくなると電話をかけてしまう。

「ねえ聞いて」
「つらい」
「さみしい」

段々と彼は電話を取らなくなり
いきなりかけてくるな、
という
指摘までもらうようになったので
今度は
長文のLINEを送りつけるようになり
既読無視される日々。

心の隙間を
「既読」の文字が埋めてくれる。
でも、いつも
埋まったはずの心には
隙間風が吹き荒ぶ。

このままではいけない、と
2年ぶりに
東京へ行った際
彼に会ってみた。寝た。
こんなもんか、と思ったはずなのに
それが強がりであったかのように
帰ってからも彼の夢を見た。

またLINEを送る。

実は、彼のこと

今回 精神を病んだ。
いつものように
彼にすがりたくはなかった。
なぜなら
彼はもう
私を愛してはいなかったから。

仕事を休んでからの1ヶ月間、
一切 彼に連絡しなかったのに
昨日はあまりにきつくて
思わずiPhoneを手に取った。

この日、夢で
彼に愛を告白して結ばれたのだった。
LINEを起動して
彼とのトークルームを開く。

送りたい言葉がない。

それは 彼への
はじめての感情だった。

私が以前送った
痛すぎる言葉たちと、
最近の彼の刺さるような冷たさ。

いやむしろ、
こんな痛い言葉に
既読をつけているだけ偉い。

そんな冷え切った心の彼に
既読無視されることが
つらいのだろうか。
より嫌われてしまうことが
つらいのだろうか。

否、
意外と
彼のこと もう好きじゃない。

亡霊との対峙

私のあたまには
3人の彼がいる。
付き合っていた当時の優しい彼と、
傷ついたときに電話をかけたくなる彼と、
現実の冷たい彼。

付き合っていた当時の彼と
現在の冷たい彼は実在するが、

電話をかけたくなる優しい彼は
実は、存在しない。
私の寂しさが作り出した
亡霊だった。

そう気づいた途端、
「やっほー今日もお疲れ様です」
なんていうお気楽なメッセージを送る。
23言葉を交わす。

私3行、彼3文字。

職場でインフルエンザが流行って
大変だという彼に

「わたしも先週
インフルかかったから
偉そうなことは言えないけど、
きついから
ちゃんと予防してたくさん寝てね~!
バイバイ!」

流れるような畳み掛けで告げた。
バイバイ。彼は気付くだろうか。
気づかなくてもいい。

この言葉を
自分から発することができたことに
少々の驚きを隠せない。

2年は、長かった。

朝 「既読」だけがついていた。

2019.01.22

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