大分県佐伯市にできた投げ銭ゲストハウス「さんかくワサビ」は、オーナーが「やってみたくてしょうがなくなっちゃった」恩送りのお宿。
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大分県佐伯市に、全国的に珍しい 投げ銭方式のゲストハウスがあります。
その名も、「さんかくワサビ」。
オーナー・かずちゃんを訪ねて泊まってみると、ゲストハウスなのに とにかくご飯の美味しいお宿でした。
さんかくワサビ 概要
オーナー | なかむら かずみさん(かずちゃん) |
住所 | 〒876-0845 大分県佐伯市内町3−26 2 階(JR佐伯駅より徒歩25分) |
駐車場 | 5台(無料/要事前連絡) |
宿泊料金 | 1000円+投げ銭 (全国的なゲストハウスの相場は3000円ほど) |
部屋タイプ | 男女混合ドミトリー(シングルベッド12床/ダブルベッド2床) |
設備 | FreeWi-Fi/シャワー(リンスインシャンプー/ボディソープ)/トイレ/コンセント(2口)/ライト/ドライヤー 洗濯機(1回300円洗剤込)/乾燥機(10分100円)/レンタルバスタオル(150円) 歯ブラシ(150円)/カミソリ(150円)/スキンケアセット(500円)/シャンプー&リンスセット(300円) ※全て税込 |
チェックイン | 14:00~18:00 |
チェックアウト | 10:00まで |
その他 | コワーキングスペース(検討中) フリースペース(18時~22時、有料) サテライトオフィス(法人契約済) |
備考 | 洗面台に鏡未設置のため、手鏡の持参がおすすめ。(2019年12月現在) |
さんかくワサビ
公式HP(予約もこちらから)
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利用の流れ
目印は黄色い壁。左のドアから入りましょう
さんかくワサビの目印は、黄色い壁です。
こちらの建物の2階になります。
建物奥の階段を上ると、白い壁にドアが2つ見えてきます。
チェックインするときは左のドアから、チェックイン後はオートロックの右のドアから入ることができます。
右のドアはナンバー式になっていて、チェックイン時に暗証番号を教えてもらえます。
門限は特にないそうなので、自由な時間に帰って来られます。
遅くに帰って来ても大丈夫!
ちなみに 消灯時間は23:00なので、遅い時間の出入りは他の宿泊客への配慮が必要です。
チェックイン時に1000円をお支払い
左のドアから入ると、ひょうきんなオーナー・なかむら かずみちゃん(以下・かずちゃん)が出迎えてくれます。
いらっしゃい!
チェックイン時に一旦1000円を支払い、チェックアウト時に追加で好きな金額を支払う(投げ銭)方式という説明を受け、まずここで1000円を支払います。
ちなみに、全国のゲストハウスの相場は3000円ほどだそうです。
アメニティの購入や洗濯機などのレンタルをする場合は、ここで申し出ます。
- 歯ブラシ 150円(税込)
- カミソリ 150円(税込)
- シャンプーコンディショナーセット 300円(税込)
- スキンケアセット 500円(税込)
- バスタオルのレンタル 150円(税込)
- 洗濯機(洗剤込) 1回300円(税込)
- 乾燥機 10分100円(通常の衣類であれば20分程度で乾く)
私は バスタオルをレンタルしました。
シャワー室にはリンスインシャンプーとボディソープがあります。
シーツは自分で敷いて準備。14床のミニマルなお宿
宿泊部屋は、男女混合のドミトリーが1室あるのみなのでシンプルでわかりやすいです。
全14床あり、うち2床がダブルベッドになっています。
個室はありませんが、添い寝の必要がなければお子さんの宿泊も可能だそうです。
どこにしようか悩む…。
オススメはある?
朝日の差し込む、こちらはいかが?
という訳で、窓の近い一番奥のベッドを使わせていただくことにしました。
枕元にライトとコンセント(ライトの分を入れて2口)があります。
拡張コンセントが必要な方は、持参しましょう。
シーツと枕カバーを受け取り、自分で敷いて準備をします。
(消灯時間は23:00です。)
翌朝はしっかりと日が差し込んで 気持ちよく目覚めることができました。
なお、金庫などはありませんので、貴重品は常に携帯するようにしましょう。
洗面所、トイレ、シャワー、洗濯機、乾燥機
共同の洗面所は、雰囲気があって素敵。
2019年12月現在 鏡が未設置なので、必要な方は持参することをオススメします。
洗濯機と乾燥機は、洗面所の隣に設置されています。
また、洗面所の向かいには共同のトイレが1つと、
シャワー室が2つあります。
シャワー室には、リンスインシャンプーとボディソープが用意されています。
共有スペース・キッチンの注意点
チェックイン時間を過ぎると、共有ペースやキッチン部分は施錠され、行き来ができなくなります。
翌朝まで立ち入ることが出来なくなりますので、ご注意ください。
夜間に出入りができるのは、ベッドのある宿泊部屋と洗面所、トイレやシャワーのみです。
調理はできませんが、コンビニが徒歩3分・スーパーが徒歩5分の位置にある好立地。
周辺には食事処や居酒屋も多数あるので、食事には困りません。
600円でいただける和朝食
チェックイン時に予約しておくと、600円(税込)で朝食をいただけます。
朝食は、オーナー・かずちゃんのお手製です。
トントンと小気味良い包丁の音、干物の焼ける香ばしい匂い。
カウンター越しに朝食ができるのを待つだなんて、なんて贅沢な時間なんでしょう。
お礼の投げ銭をしてチェックアウト
チェックアウト時間は10:00までです。
ベッドのシーツを剥がして所定の位置に片付け、身支度を整えます。
カウンターの前に来たら、自分が支払いたいと思った金額を投げ銭します。
ええーい!この金額にしよう!
さんかくワサビでは、このあとご紹介するランチ営業も行なっているので、宿泊以外でも またふらりとお邪魔したいです。
月曜日と木曜日にはランチも
さんかくワサビは、お昼の時間もとっても賑やか。
毎週月曜日と木曜日にランチを提供中なんです(2019年12月現在)。
曜日ごとに入れ変わる料理人の隣で、オーナー ・かずちゃんもお手伝いします。
毎週月曜日にいただける はるかさんお手製の「だんご汁定食」は、玄米のおにぎりとおかずが付いて650円(税込)。
100円追加すると大盛りにもできちゃいます。
一般的に味噌を使うことの多いだんご汁を醤油と塩でシンプルに味付け、たっぷりの椎茸、にんじん、かぼちゃ、ねぎなどを使った具沢山のお汁に仕上げています。
大分県内で作られているというこだわりの柚子胡椒を溶いていただくと、これまた格別です。
一見少なく感じますが、だんご汁・おにぎりともにしっかり量があるので、普段は大盛りを頼むことの多い私でも 満腹になりました。
ちなみに、毎週木曜日は「精進ラーメン」がいただけるそうです。
話を聞いただけで すごく美味しそうだったので、近々 ぜひ食べに行きたいです…!
オーナーは、横浜出身の かずちゃん!
さてさて、小さなスペースにワクワクする要素が盛り沢山な さんかくワサビ。
オーナーは、横浜出身の移住者・かずちゃんです。
横浜や東京で飲食店でのバイトや重度障害者の訪問介護をして暮らしていた かずちゃんは、3年前に移住先を探す日本一周の旅に出ました。
旅を終えて「日本は、どこに住んでもサイコー!!」と気付いた彼女は、小学生のときにファンだったというお笑いコンビ「ダイノジ」の出身地である、大分県佐伯市の地域おこし協力隊へ応募します。
佐伯のことを何も調べずに面接に挑んだにも関わらず、寛容に接してくれる面接官の「佐伯のおいさん」たちに心を掴まれ、会場は爆笑に包まれ面接終了。
https://readyfor.jp/projects/nagesen-together
「愉快なおいさんたちがいるんだから愉快なまちに違いない!」
ということで移住先は佐伯に決定。
「ダイノジのファンだったから佐伯市に移住」!
最高に ぶっ飛んでる!!
地域おこし協力隊として地域に溶け込み、次第に活躍の幅を広げていきます。
佐伯のおじさんたちを取材したフリーペーパー『佐伯のおいさん』は、私の愛読書です。
ゲストハウスの費用の一部にと始めたクラウドファンディングも大成功させ、短期間で274万4500円もの支援を集めました。
さて、そんな彼女が佐伯初となるゲストハウスを始めたのは、20代のときのある出来事がきっかけです。
22歳のかずちゃんは、オーストラリアにいました。
農場で働きながら各地を転々として その日暮らしの生活をしていたのですが、農場の仕事が辛すぎて 明日の生活費もないまま辞めてしまいます。
オーストラリアには友達も家族もおらず、電車にさえ乗れず、途方に暮れるかずちゃんを救ってくれたのが、台湾人のモンピン姉さんでした。
モンピン姉さんは、わずかな期間一緒に働いただけの彼女に 泊まる場所と食べ物を提供してくれたばかりか、もう一度働けるように農場主と掛け合ってくれたのだそうです。
めっちゃいい話…。
その後かずちゃんは 恩返しとして食事をご馳走しようと試みますが、一枚上手なモンピン姉さんにまたご馳走になってしまいます。
恩返ししたいのに、うまくできない。
そこで思いついたのが「恩送り」という考え方でした。
「Pay it forward」とも言い、「恩の先払い」などとも言います。
自分がもらった恩をそのまま返すのではなく、他の人に渡すことで恩を受けられる人が増えるのです。
もらった恩を一人に送ってもいいし、二人に送っても三人に送ってもいい。(中略)
たまたま隣に居合わせた人の必要としているものを自分が持っているのなら「あぁ、どうぞ」と渡せる場所があったらいいなと思うのです。
https://readyfor.jp/projects/nagesen-together
そして、私がそうであったように、若者やお金を充分に持っていない人が違う世界を見たいと思った時、家族や友人以外の人にも親切にしてもらったり助け合ったりできる世の中であってほしいなと思うのです。
「可愛い子には旅をさせよ」ってね。で、多分なんですけど、若いうちに苦い思いをした人が多いほど人に優しい街ができるんじゃないかと。
ゲストハウスが投げ銭であるということは、いつかのかずちゃんのような旅人だって泊めることが出来ます。
モンピン姉さんからもらった恩を、かずちゃんはゲストハウスという形で恩送りしようとしているのです。
この話は、クラウドファンディングの特設ページから読むことができます。
「やってみたくてしょうがなくなっちゃったの!」かずちゃんインタビュー
かずちゃんとは、地域おこし協力隊時代の同期で共にお笑いファンということで2年ちょっとの仲。
せっかくなので、聞いてみたかったことを尋ねてみました。
クラウドファンデングのページで、佐伯での生活を「東京ではイラついていた自分のポンコツさにうっとりさえしちゃう毎日」と表現していたのが素敵だった。
移住して来てどんな心境の変化があったの?
東京で自分のことをポンコツに感じていたのは、元々私がポンコツだったからというよりも、忙しくせかせかしている周りの環境によって不安な感情が引き起こされたからだと思うの。「なんでこんなにできないんだろう…」って。
そして、ポンコツである自分のことも許せなかった。
でも佐伯に来てからは、変なプレッシャーをかけられることもないし、失敗しても「ドンマイ」くらいで済んじゃう。
そもそも佐伯という土地は、外から来た人間に対して 良い意味で期待しない気がする。海が近くて昔から食べ物が豊富だったからか、大らかな方が多いのかな。
そんな佐伯の方々の人柄のお陰もあって、都会にいたときとは自分自身の捉え方が変わったんだと思う。
そっか。
佐伯の風土が かずちゃんを受け入れてくれたことで、自分自身のことも認められるようになったんだね。
かずちゃんっていつもパワフルで、ずっと動き続けてる印象があるんだけど、人生に立ち止まったことってある?
あるよ。
21歳のときオーストラリアへ ワーキングホリデーに行ったんだけど、お金がなかったから旅行業者へは依頼せず、一般的な語学学校へも通わなかったのね。
だから最初の2〜3ヶ月は友だちもできなくて、シェアハウスの自室に引きこもってYouTubeばかり見ていた。
そのときは「ヤバイな、ヤバイな」と気持ちは焦るんだけど、具体的には 何も考えていなかったなぁ。
わかる。
焦るけど動き出せない、苦しい時期ってあるよね。
そこからどうやって脱したの?
私が動き出せたのは、お金が底をついたから。
「ヤバイ!働かなきゃ!」って、シェアハウスで一緒に暮らしていた子に 勤務先の農場を紹介してもらって慌てて働き始めたの。
お金が必要な環境に置かれれば、手段はどうでもよくなる。
そうなれば、いろんな働き方や動き方が見えてくるの。
かずちゃんの仕事観って、しっかりしてるよね。
高校生のときに父が仕事を辞めてしまって大学へ行けなくなったんだけど、そのお陰で 若いうちに「自分は大した人間じゃない」と知ることができたんだ。
15歳からアルバイトしていたこともあって、自分の時間を切り売りして いかにお金にするかを考えてきた。
気付いたらプライドなんてなくなって、「稼いでやる!」って気持ちに火がついていたんだよね。
10代から20代にかけて、「どうにかしなきゃ」とがむしゃらにやってきたことは、今になってよかったと思えることが多いよ。
なるほど。
でも、お金を稼ぐための方法には執着しない かずちゃんのスタンスと、いくら支払ってもらえるかわからない投げ銭方式のゲストハウスとは相反する気がするけど、さんかくワサビを始めるときはどんな心境だったの?
とりあえず、やってみたくてしょうがなくなっちゃったの!
これまで「自分の暮らす佐伯のまちのために何かしたい」と考えてきたし、それを言い続けてきたけど、それがどうでもよくなるくらいに「この土地で、投げ銭で、ゲストハウスを始めたらどうなるんだろう?」という好奇心を抑えられなくなっちゃったんだよね。
あはは。
確かに、投げ銭方式のゲストハウスなんて、聞いただけでワクワクするもんね!
うん!
それに もともと私は旅が好きなんだけど、なぜだろうって理由を考えたら「自分とは違う背景を持つ人と出会うのが楽しいから」だったんだよね。
ただ、自分の住む地域と違う場所に行けばいいわけではなくて、その土地でしか会えない人と出会いたいの。
でもこの欲求を満たすためだったら、必ずしも自分が遠方に出向かなくても 相手が会いにきてくれればいいわけじゃない。
私にとって、ゲストハウスは もってこいだったんだよ。
確かに、そう考えたらゲストハウスってかずちゃんにぴったりだわ!
物件をリノベーションしていることもあって、さんかくワサビには趣のあるものが多く使われているよね。
こだわりはあるの?
人の生活が垣間見えるような、古き良きものが好きなの。
レトロとは違うの?
うーん。ただ古いだけではダメ。
例えば、同じ中古品でも新品同様のものには興味がなくて、 以前使っていた人のぬくもりや愛着が感じられると魅力を感じる。
私たちはものを評価するときに 便利さや技術の高さで天秤にかけてしまいがちだけど、私はものが無い時代に工夫して使われてきたようなアイテムが好きだなぁ。
昔の廊下のツルツルさとか、何度も手が触れて削れた柱とか。
そういうものは大切にしていきたい。
今後かずちゃんは、さんかくワサビをどんな場所にしていきたい?
実は、さんかくワサビという場所づくりをしたら、結構 満足しちゃったの!
そうなの!?
今は「月々の家賃と借金をコツコツ返せて たまにお寿司食べられたらいいなぁ」くらいに思っているから、佐伯やその周りに住んでいる人たち、他の場所からやってきた旅人たちが「やってみたいけどどうかなぁ?」と思うことを、ここでやってみてもらえたら最高に幸せ。
私もその中のひとりとして、面白そうなイベントができたらなって思っています。
貸しスペースがあるから集まれるし、キッチンがあるから食べられるし、もちろん泊まれるし。
「この場所の可能性すごいな!」って、できあがってから気付いたの。
本当だ!
この場所のポテンシャルってすごく高いね。
色んな企画ができそう!
そうなの!
例えば「佐伯の塩と佐伯の酒を舐め比べ・飲み比べする日」とか「まちなか下手スケッチ大会」とかどう?くだらないけど楽しそうでしょ。
このくらいの企画力でいいから、みんなに色々提案してもらえたら嬉しい。
でも、意外と辛辣な意見も言うから、面白くないと思ったら正直に「面白くない!」って言うと思う。
言っちゃうんだ!笑
でもそこが かずちゃんっぽくて良いなぁ〜。
また気軽に遊びに来ます。
ありがとうございました!
まとめ:佐伯の投げ銭ゲストハウスは、楽しくて、美味しいお宿でした。
佐伯の投げ銭ゲストハウスは、楽しくて、美味しいお宿でした。
「やってみたくてしょうがなくなっちゃったの!」という オーナー・かずちゃんの想いが詰まった さんかくワサビ。
宿泊はもちろん、ランチを食べにふらりと立ち寄りたい、なんとも居心地の良い空間です。
みなさんも、ぜひ気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?
さんかくワサビ
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