引っ越しは、 自分の抱え込んでいるものを 把握する作業だ【エッセー】

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引っ越しは、
自分の抱え込んでいるものを
把握する作業だ。

18歳の上京から数えて
27歳までに
7回の引っ越しを経験している。

その間に所有物は
かなりの変容を遂げてきた。

社会人最初の
大きなうつの波が来たときは、
ミニマリストに憧れ
断捨離にハマった。

毎日襲ってくる不安に耐えきれず
友だちの家を転々としていたから

自分が
限られた荷物で生活できることは
身をもって知っていたし、
大量の荷物に家賃を払うのが
惜しくなったのだ。

大学時代に集めた
300冊の蔵書を売り払い、
これまで大切にしてきた物も
「無駄だ」と切り捨て
じゃんじゃん処分した。

このとき、
幼少期からずっと一緒だった
ぬいぐるみの
「れっしー」を
捨ててしまったことだけは、
今でも悔やみ続けている。

あのときから 比較的
物は捨てられるようになったけど、
たとえ「無駄」であっても
すきなものは
必ず手元に置いておくことを
心に留めるようになった。

変容するモノ

引っ越しを繰り返すうちに
私の荷物はどんどん減っている。

一時的に
増える物もあるのだが、
しばらくして飽きると
人にあげたり処分したりするため
一定量からは さほど増えない。

というより、
物が増え始めるのと
引っ越しをするのとが
似たようなタイミングで
やってくるため、
否が応でも
自分の荷物について
省みる機会が生まれている。

  

処分するためには、
ひとつひとつの物と
対話する必要が生じる。

思い出に浸る猶予を与えないため、
保留ボックスを
大きめに設定して挑む。

こんまりさんが
「ときめくかどうか」で
荷物を選別なさるのは有名な話だが、

基本的に
「この荷物に
 家賃を支払う価値は
 あるかどうか」
で判断している。

引越しをする時々で
家賃や部屋の広さが異なるように
物に求める価値そのものも
異なってくるので、
取捨選択して残る荷物は
大きく変わる。

それはつまり、
私の中の価値観が
大きく変化していることを意味する。

いつも引っ越すつもりで、自分を省みて生きていたい。

シェアハウスから
実家に戻ってきて、早2ヶ月。

生活にも慣れ、
体調も安定してきた。

引っ越すことは
しばらくなさそうだけど、
いつも
引っ越すことを想像しながら
物と
自分の価値観とを
省みて生きていたい。

 

引っ越しは、
自分の抱え込んでいるものを
把握する作業だ。

何を優先して
何を切り捨てて生きるのか。

そのヒントは
きっと、引っ越しにある。

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